子どもが自分で自分の学習を管理できるようになることは、これから先の社会に必要な生きる力です。
目的に向かって何が必要なのか、また、目的を達成するために目標を立てたりなど、社会人にも必要な基礎スキルといっても過言ではないでしょう。
そういった力を養うために、生徒・指導者・保護者はどのようなことをしていけば良いのでしょうか。それぞれの立場から1つずつ考えてみてみましょう。
生徒
生徒本人に意識してほしいことです。無理のない範囲で実行しましょう。
自分で学習計画を立てる
自分で学習を管理するために大事なのは、目標を立て、実現のために、何をいつまでに達成するかを考えていくことです。それを具体的に落とし込んだものが学習計画です。年間の目標を立て、それを達成するための月毎の目標を立てます。さらに週、一日と短い単位で考えていくと、今やるべきことが明確になるでしょう。
特に、定期テスト前になると学校からもテストまでの学習予定表などが渡され、そこにその日にやることの記入を行なっていきます。どのぐらいのペースでやると期日までに終わるのかを逆算する力が必要であり、そのためには、「ワーク○ページやるには△時間ぐらいかかる」といった数字が必要不可欠です。日頃の学習スピードを元に計画を立てていきましょう。
得意分野・苦手分野を把握する
目標と、今の自分との間にどれくらいのギャップがあるかをはっきりさせると、達成すべき具体的な項目が分かります。そのためには、自分の得意・不得意を分析することが欠かせません。得意な科目の中にも苦手単元はありますし、苦手科目の中にも得意な単元はあります。科目での得意苦手に留まらず、科目・単元を細分化して、得意な事はさらに伸ばし、苦手な事は早めに穴埋めすることを心がけましょう。
自分に合った学習方法を見つける
どんな学習の仕方が自分にぴったりかを知っておくことも重要です。自分の部屋よりリビングの方が暗記しやすいとか、毎日コツコツやることが得意なのか、または短期間に集中してやることの方が合っているのか、朝と夜のどちらが捗るのかなど、自分のタイプを分析し、最適な学習の仕方を探ってみましょう。
指導者
指導者の方が下記の内容を実行されているかをお子さんにチェックさせてみてください。もしそうでない場合は、下記内容を満たすようお願いすることも必要かもしれません。
生徒が自分でやる時間をつくる
もっと演習・練習が必要なところや、もう少し力をつけて欲しい部分など、指導者の立場からは、生徒の未達成部分がよく見えます。しかし、全てを指導者が教えてしまうと、そこで生徒が考えることをやめてしまうことになるので、生徒自身が自分で気づき、取り組めるように導けると良いでしょう。自分の力で達成した手応え(小さな成功体験)が、やがて自分で問題を解決する能力(大きな成功体験)へとつながります。
生徒の意思を確かめる場をもつ
指導者が良かれと思って学習プランを作成しても、生徒が必ずしも納得しているとは限りません。指導者がせっかく作ってきてくれたので・・・と、なかなか否定することは難しいですよね。無理な押し付けは生徒のやる気を無くします。生徒を受け身のままにしないためにも、生徒の意思を常に確認する時間や機会を設けるようにしましょう。
達成できたことを褒め、未達成部分は励ます
生徒が目標を達成できたら、できたことをしっかりと認め、褒めてあげましょう。今の時代は、自分に目をかけて、認めて欲しい傾向が強い生徒が多いように感じられます。どんな小さなことでも取り上げ、常に見ているというメッセージを送り続けましょう。
特に、褒められると人は誰しも嬉しいものです。大人でもそうですので、まだまだ子どもの生徒さんにとってはなおさらです。「目標を達成すると褒めてもらえる」という認識を持ってもらい、次の頑張りへの活力とし、成功体験へと繋げるのが王道の道です。
保護者
大好きなわが子だからこそ、色々やってあげたくなってしまう。その気持ちはとてもよくわかります。しかし、皆さんが思っているよりお子さんは考えることができ、しっかりとした自我があります。それを前提として下記3点を実行していきましょう。
先回り・心配をし過ぎない
熱心な保護者は、自分の子が何かをしようとすると、先回りしてどんどん手伝ってあげようとすることがよくあります。歩く道に落ちている小石を全てどけてあげ、通行人に道を空けてもらうよう交通整理するようなものですね。これでは、子どもが自立できない状況が続いてしまいます。良かれと思った上での行動でも、長期的に見れば、実は子どものためになっていないという典型的な例ですね。さりげなく道を指し示してあげる程度が良いでしょう。
子どもが1人で考える時間を持たせる
1人で過ごす時間・空間がないと、子どもの息が詰まってしまうこともあります。ときには1人になれる時間を持たせることも心がけてみましょう。特に口出ししなくても、家族や保護者の価値観や考え方は、子供にしっかりと伝わるものです。誰にも気兼ねなく過ごせる環境を作ってあげると心にゆとりが生まれます。
子どもの意見に批評をしない
子どもが自分の考えを言う前に、保護者が口を挟んだり、「それは違う」「まだまだだね」など、批評を加えたり、批判をしたりしていないでしょうか。このようなことが重なると、子どもは自主性を失い、自分で考えることを放棄してしまうかもしれません。脳のつくりから考えても、否定の言葉は子どものモチベーションを下げる大きな要因です。「どうすれば良かったのか一緒に考えよう」など、肯定的な言葉で誘導してあげるようにしましょう。
また、親子でも考えが異なるのは当たり前です。子どもの意見は1人の人間の意見であるということを認識し、きちんと受け止めるようにしたいですね。
まとめ+戦略的学習スキルとは?
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
実は、自分で学習に取り組むということは「ただ机に向かって学校の課題をこなすこと」とは異なります。最終的には、新しいことを学ぶときに状況に応じて最適な学習法を選び実践する力に成長していきます。そういった力のことを「戦略的学習スキル」と言い、2030年に必要とされるスキルでは「英語力(21位)」や「プログラミング力(66位)」を凌いで1位にランクインしています。
自らの意思により自分に必要なものを考え、計画を立てて実行することで、最善の方法で進んでいくための道筋を作るスキルを養うことになっていくのです。
これからの時代は個で生きる時代に突入していきます。そのためにも、ただ言われたことだけを実行するマシーンではなく、自ら考える力・人が必要不可欠になるでしょう。
今回の記事が、未来を形作るの小中学生に少しでも響いてくれると幸いです。
それではまた別の記事でお会いしましょう。ご精読ありがとうございました(^ ^)/