子供の頃に、親や先生に「集中して勉強しなさい」と言われた人は多いでしょう。もちろん、集中した方がいいのは誰もがわかっているのですが、では集中力はどのようにして高められるのでしょうか。
今回は集中力を高めるための方法を4つご案内します。いろいろ試してみて、ご自身に合うと思った方法を継続して実行してみてください。
「自分の空間」を作る
自宅で勉強するとき
勉強をする際に環境を整える事は、集中するために重要な要素の1つです。机の周りに勉強とは無関係なものが置かれていると気が散ってしまいます。そうしたものをまず、視界から排除することから始めましょう。
学習とは関係ないものが目に入る所にないか
学習に関係のないものが周りにあると、集中を妨げる原因となります。ポスターをどうしても貼りたい場合は、振り返らないと見えない背後のスペースに貼ると良いでしょう。また、机の上も関係のないものは引き出しの中にしまい、学習が終わってから取り出すようにするとメリハリがつきます。
テレビや余計な音が聞こえてくる環境下でないか
兄弟が遊んでいるところや、リビングから大きなテレビの音が聞こえてくるのは、せっかくのやる気をダウンさせてしまいます。一時期「リビング学習」という言葉が流行りましたが、それは「集中力」ではなく「暗記力」に関係しています。「集中力」は削がれてしまいますので、混同しないように注意しましょう。
家の人に、学習の時間にはテレビの音量を絞ったり、他の兄弟も勉強する時間にしてもらうなど、協力してもらえるように工夫しましょう。
誘惑するものを近くに置かない
家での学習において天敵とされるのが、漫画やスマホなどの誘惑です。一度見てしまうと数時間経っているなんていう経験は一度や二度ではないでしょう。特に最近の中高生はスマホへの依存度がかなり高いです。(あるデータによると、中学生のスマホを使用している1日平均時間は約3時間と言われています)
スマホは今の時代なくてはならないものになりましたが、一方で大きな弊害でもあります。私の高3の生徒はスマホのない時代に受験をしたかったと言っているほどです(^_^;)。あるYouTuberにも紹介されていますが、自分がセットした時間にならないと取り出しができない「タイムロックボックス」なるものもあります。どうしてもスマホを触ってしまう人は一度検討してみても良いでしょう。
落ち着ける色を使おう
自室ということで例を挙げるとすれば、部屋のコーディネートを考えてみても良いでしょう。学習する部屋が色々な色であふれていると、集中力を乱す原因になります。目に入る情報量を抑え、落ち着いた状態で学習できるように、壁やカーテン、寝具などの色を同じトーンに統一するのも良いでしょう。一般的にはブルー系やグリーン系が落ち着く色だと言われています。
図書館や塾で勉強するとき
周囲との遮蔽物をあえて作る
環境によって集中力が大きく左右される人の場合は、個室か周囲の風景が視界に入らない仕切りを立てて勉強すると集中できるようになるでしょう。
また、そういった環境づくりが難しいフラットなところで勉強をする人は、勉強する机の両端にノートや参考書などを積むなどをして、「意識上の隔たり」を作ることで、余計なものが視界に入らず、自然と勉強に集中しやすくなります。
他にも、作為的に左右の視界を遮ることも有効です。その結果、前頭葉外側部の活動が高まり、集中しやすくなるという研究結果も出ているそうです。
雑音は取り除く
周りの雑音が気になるようであれば、それらは全てシャットアウトしましょう。最近ではワイヤレスイヤホンを持っている方がほとんどかと思いますが、もちろんコード付きでも構いません。BGMとしては歌詞がないジャズやクラシックなどが良いでしょう。気分が乗りすぎて曲に集中してしまうと本末転倒なので、そこは注意したいところですね。
集中の「波」を把握する
集中しやすい曜日
「週の始めは気分が沈んでいても、週末が近づくにつれてだんだん気分が良くなり、週末を過ぎるとまた下がる」という話は小中学生のみならず、高校生や大学生の方からもよく聞きます。こういった気分の上下は人間が持つ生理的な周期が関わっており、同じように脳の活動にも生理的なリズムがあるそうです。実際に週単位での脳活動によるドーパミンなどの脳関連物質を調べてみると、脳がよく働いていて集中力が高まっている曜日と、反対に脳の動きが鈍っていて気が散りやすい曜日があることがわかったそうです。
朝型と夜型
また、曜日とは関係なく、一日の中で集中しやすい時間と集中しにくい時間もあるのではないでしょうか。朝一番の小鳥が囀る声とともに勉強をした方が捗るという朝型の人もいれば、周りが寝静まった、夜の一人の時間の方が捗るという夜型の人もいます。
いずれにしても自分が集中できる時間帯がいつなのか、「集中の波」を把握し、集中力のあるときに暗記や演算問題に取り組み、集中力が低下しているときにはノートのまとめや復習をするなど、メリハリをつけることで効率よく集中して勉強ができます。
自己暗示にかける
暗示をかける
脳は、自分が使った言葉に反応し、自分の心身の状態を変化させることがあります。その効果を利用し、自分自身に暗示をかける言葉を使って集中力を高めるという方法があります。試合前に自問自答をし集中力を高めるスポーツ選手なども、この「暗示語」を取り入れている人は多いです。また、集中するときに必ず行うルーティーンのようなものを用意することで、集中する状態へのハードルはまた一段低くなります。
また、暗示をかける言葉を使うときのポイントは「そうなろうとしない」ことです。例えば気分を落ち着きたい場合に、意識的に落ち着こうとしてもなかなかうまくいきません。ただ頭に言葉を浮かべ、ただ繰り返す。言葉に対して受け身でいることが暗示の成功率を高めます。
自分を信じる
何事も自信がないと上手くいく可能性は低くなります。特に脳は不安を感じるとそのポテンシャルを下げてしまうというデータもあります。「自分なら集中してやれる」、「私にできないことはない」と自分を信じることが大切です。
勉強に依存〜報酬と癒し〜
A10神経群とは
大脳の前頭葉にある「A10神経群」は感情を司る神経が集まる部位であり、脳がポジティブになるきっかけをつくります。ポジティブ発言をし、「ワクワク」「ドキドキ」すると、この部位が働き、脳に「好きな情報」として送られるため、やる気が上がります。
このA10神経群は「依存」に大きく関係する部位であることが知られており、「依存」するものがどんなものであれ(ゲームとかは良くないですよ!笑)、「入れ込む」行為すべてにA10神経群の活動が先立っています。つまり勉強に「入れ込む」A10神経群の活動が高まった状態になれば、集中力を高めることが出来るというわけです。
集中力を高める2つの快楽
A10神経群の活動を高めるためには2つの快楽が必要と言われています。それが「報酬」と「癒し」です。順番に見ていきましょう。
報酬
報酬とは、お小遣いアップや豪華な食事、褒められたときの自己達成感、充実感などです。また、報酬を得られそうだという状況も含まれます。予め「○○ができたらご褒美がある」などと決めておくことで、A10神経群が活発に活動し、集中できる要因となります。
反対に、「○○が達成できなかったら罰がある」という状況は脳にとっては不安を煽り、集中を削ぐ原因となりえます。「学年○位以上になったらスマホが買ってもらえる!」などはとても良い報酬です(子供にスマホを与えることに賛成しているわけではありません^^;)が、「前回より○位以上下がったらお小遣いなし!」などといった罰は設定しない方が良いでしょう。
癒し
癒しと聞くと「アロマ」を連想し、勉強中にアロマの香りを嗅ぎながら・・・と誤解をされる方もいらっしゃいますが、そうではなく、「ここで勉強すると落ち着く・集中しやすい」という感情を持つことです。そのためには、前述にあるように、「勉強する場所」の環境が大切になります。このような状況であれば、報酬がなくても、癒しにより集中力を持続させられます。
まとめると、「報酬」と「癒し」が同居した状況、つまり「問題がスラスラ解けて、目標に達成できそう!」と報酬を感じると同ß時に、「この空間で勉強していると、ほっとして落ち着く」という状態をつくることがA10神経群を活性化し、強いては集中するための重要なキーとなってくるということです。